【最終章】空に誓う
どんどん近づいてくる
富士山
ヤバい、思ったよりデカい
しかも
雪残ってるじゃん
大丈夫大丈夫
もう六月入ってるし
気合いでどうにかなるっしょ
登山前、俺は完全にナメていた。
実は富士山に登ろうと思ったキッカケは
もう1つあった
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あれは徳島県での出来事だった
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四国、徳島の道を走っていると
ふとこんなノボリが目に飛び込んできた
日本一低い山、、、だと?
これはスーパー暇人な高田
行くしかねぇ!!
そして、農道を走り
いとも簡単にその山は姿を現した。
低い
確かに低い
その低さはギターと比べても一目瞭然。
しかも案内看板の写真を撮った人の名前が
偶然にも高田さん
これはやっぱなんかあるわ〜
いざ!!てっぺんへ向かって!!
スタート!!
結果
15秒で登頂成功
(ダッシュすれば7秒)
よし!日本一低い山を制覇!!
そうなると、、いつか富士山にも登りたいな、、、
その時にちょっとだけ思ってたんだ。
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そして今
目の前にソイツがいる。
さらに、、恐ろしい事実が待ち受けていた
残雪のため6合目から上にいけない
という新事実
はい、企画倒れ
どうりでおかしいと思った
観光客ほぼゼロ
道中の山小屋もまだオープンしてない
というより
まだ【山開き】もしてない
一応、売店のおばちゃんに聞いてみる
すみません、なんとか登れないですか?
おばちゃん
【遭難しても構わないなら入山届け書いて登りなさい】
マジか、、、
しかし、ここまで来て
ノコノコ帰りたくない
俺はどうしてもご来光が見たいから
夜まで待機し
結局
気合いで登ることを決意
(良い子は絶対真似しないでね)
そして夜11時
いよいよ単独登山スタート
やばい、真っ暗すぎて道が見えない。
最初はウォークマンを聴きながら
余裕で登っていたが
一時間ほど登って
異変に気付く
どう見ても、崖を登っているのだ。
こんなのテレビで見てないぞ!!
そう、思いながら
それでも登り続けた。
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更に1時間後
そこでようやく謎が解ける
俺が登っていたのは登山道じゃなく
物資を頂上まで運ぶためのキャタピラが通る
急斜面だった
どうりで看板も手すりもないわけだ。
足を踏み外したら、マジで死ぬとこだった。
その後
なんとか正規ルートに戻った俺に
今度は日の出のタイムリミットが迫ってきた
ヤバい、もう明るくなってきてる
しかし、見下ろせば
自分が歩いてきた道のりが見えて
嬉しくなる。
ルートを間違っていたため
既に体力は限界だったが
ご来光とか、もう頂上で見れなくてもいい。
とにかく登頂は絶対してやる
その気持ちだけを胸に、とにかく
うお〜!!!
って発狂しながら登った。
すると
だんだんと空は明るくなり
素晴らしい表情を俺に見せてくれた
すげぇ、これが雲海
登山シーズンじゃないせいか
この景色を独り占めできてる感動
映し出された影でさえも、感動できる。
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そして、ついに恐れていたあの悪魔が牙を剥く
あれ?なんか白いのいるんですけど??
近づいてみて、それは絶望に変わった。
モロに頂上への道にかぶってる
柔らかな雪ではない
カチカチの氷なんだ
杖で突っついて、それを崩しながら、登る。
気温もメチャクチャ寒い
更に登り進めていくと、、、、
あぁ、、、これ完全にアウトなやつだわ
【滑ったら死ねるレベル】
それでも一歩一歩、俺は無理をしてでも登った。
どんなに時間がかかろうが登ることを選んだ。
途中
なんでギター背負って登ってんだ俺は?
そう疑問を感じた。
頂上でストリートライブとかおもしれ〜
そんな企画を立てたことに後悔し
何度も
このギターを放り投げたらどんだけ楽になるだろう?
何度も思った。
それでも
それでも
頂上へ向かう足だけは止めたくなかった。
頂上がチラッと見えた時
急に色んなことを思い出したんだ。
この旅のこと
本当に色んな人に出逢って
本当に色んなところにいった。
雨に打たれて
風に煽られ
西の果てから
南の果て
北の果てや
東の果てにも
色んな事が走馬灯のように
甦る
もうすぐ終わっちまう
終わっちまう
そう考えていたら
涙が流れていた
そして俺は、気がつくと
頂上に立っていた。
美しい景色を見たとき
日本一周の旅は
完全に、ここで完結
晴れ晴れしい心で
本心でそう思えた。
話は少し戻るが
俺は例の
日本一低い山の小石を
たったひとつだけ
お守りに持っていたんだ。
その石を
俺は
富士山の頂上に置いてきた
俺みたいな底辺の人間が抱く
願いというか
夢だったのかもしれない
なんの目標もなく生活している
自分とダブらせてしまったのかもしれない。
どん底の
一番低い景色から
一番高い場所へ行き
コイツに
その景色を見せてあげたかったのかもしれない
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これにて
この世界に新たなトリビアが生まれた
日本一高い山の頂上には
日本一低い山の石が
紛れ込んでいる
へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜
へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜
以上!!
高田リオン日本一周一人旅!!
完結